顎関節症

1. あごが痛む(顎関節痛・咀嚼筋痛)
2. 口が開かない(開口障害)
3. あごを動かすと音がする(顎関節雑音)」
のうちの1つ以上があり、これらと同じような症状の出ることのある、顎関節症以外の病気がない時に顎関節症と診断されます。

実際には、患者さんへの聞き取り(問診)、あごの動きの検査、あごや咀嚼筋の痛みの検査、レントゲン検査、必要に応じてMRI検査などを行い、顎関節症以外の同じような症状を呈する疾患を鑑別した上で診断を行います。
痛みには、身体的な傷害だけではなく、心理的・社会的な因子も強く関連することから、これらの状態は心理テストなどを用いて検査する場合もあります。

顎関節症は、日常生活における行動や癖が症状と関係している場合がありますので、ご自身で気をつける事で症状が軽くなる場合があります。具体的には、「顎関節や咀嚼筋への負担を減らすため、硬い食品や長時間の咀嚼は避ける、頬杖をやめることや猫背などの姿勢をよくする、また、仕事中や休息時に上下の歯が接触していることに気付いたら歯を離すようにする、そして、特に強い心理的な緊張を感じる環境があれば、それを改善し避ける」などです。

理学療法には物理療法と運動療法があり、また、医療者が行うものと患者さん自身が行うものに分けられます。
物理療法は、手指による筋肉のマッサージ、ホットパックなどによる温罨法、低周波治療による筋肉への電気刺激、鎮痛を目的としたレーザー照射などがあります。
運動療法には、筋肉や靭帯などの柔軟性や伸張性を改善するストレッチや、関節へ直接アプローチして顎関節の動きを良くして開口量を増加させる下顎可動化訓練、また、疲れやすい筋肉を鍛えて耐久性を向上させる筋力増強訓練などがあります。いずれにしても、医療者の指導を受けて行って下さい。
また、顎関節や咀嚼筋の痛みに対して、消炎鎮痛薬を用います。基本的には決まった時間に、決まった期間服用します。症状に応じて、薬の種類や服用方法を調整します。しかし、薬を服用しても改善しない場合は、他の原因や治療法を考える必要があります。
更に、最も一般的なスタビリゼーション型アプライアンスは、上顎または下顎の全歯列を覆うもので、睡眠時のはぎしりやくいしばり(睡眠時ブラキシズム)時の咀嚼筋の緊張の緩和や、顎関節部への負荷の軽減を目的としています。